ソーシャルメディアなどウェブ上で影響力のある人物をキャンペーンなどに起用するインフルエンサーマーケティング。
ソーシャルメディアが普及して消費者の生活の一部になっていることで、ますます需要が増加しています。
インターネットには多くのトレンドがあります。ソーシャルメディアの新機能や新しいプラットフォームの登場、消費者の意識の変化、コンテンツの人気によって、オンラインマーケティングは大きな影響を受けるのです。
インターネット上で活躍するインフルエンサーが関わるインフルエンサーマーケティングも例外ではなく、トレンドを押えておくことで円滑なマーケティング運用に貢献。キャンペーン運用の際のヒントや気づきの発見に役立ちます。
今回は2017年版のインフルエンサーマーケティングのトレンドを紹介します。インフルエンサーマーケティングを取り巻く動向を知って、投資すべき戦略を見極めましょう。
目次
トレンド1.ライブ配信がより活発に
2016年から続く動画人気。その中でライブ配信も動画を使った新しいアプローチとして様々な企業が活用し始めました。
多くの企業がライブ配信をキャンペーンに活用した背景には、大手ソーシャルメディアのライブ配信機能の導入が相次いだことが理由に挙げられます。
出典 : Facebook Live:https://live.fb.com/
Facebookは2016年、手軽にライブ配信ができるFacebook Liveを導入。フィードにコメントを投稿するように、ワンクリックでスマホのカメラからライブ配信ができるとして人気を集めました。
特にFacebookは大きなイベントの多いテック系や自動車関係の大手企業が多数ページを開設しているプラットフォームです。
インフルエンサーと協力してFacebookライブからイベントの実況中継をするライブ配信をよく見かけました。
さらに2017年はインスタグラムがライブ配信を導入したことで、ライブ配信人気に拍車がかかると予測できます。
インスタグラムとFacebookではターゲット層が異なるため、新たな層にライブ配信を活用したアプローチが可能。
ライブ配信を活用する企業や、キャンペーンのためにライブ配信を活用するインフルエンサーの増加が考えられます。
もう1点、インフルエンサーマーケティングでライブ配信が重要になるのは、ライブ配信で収入を得られる機能が充実してきているためです。
Facebookは2016年からライブ動画内で配信するミッドロール広告をテストしていましたが、2017年に入ってミッドロール広告を本格的に配信する動きがあります(Marketing Land参照)。
加えてYouTubeはライブ配信中に配信者へ課金できる「Super Chat」システムを導入。インフルエンサーにとって収入を得られるメリットが増えたので、キャンペーンでライブ配信を使う機会が増加しそうです。
出典 : Marketing Land:http://marketingland.com/facebook-opens-mid-roll-ads-live-broadcasters-starts-non-live-test-207499
出典 : YouTubeヘルプ「ライブ配信での Super Chat」:https://support.google.com/youtube/answer/7277005?hl=ja
トレンド2.継続したスポンサーコンテンツの増加
多くの海外メディアで叫ばれているのが、スポンサーコンテンツは同じインフルエンサーを継続して起用するということです。
キャンペーンに1度起用するのではなく、同じキャンペーンへの起用や、一定期間連続して起用することが多くなると予測されています。
インフルエンサーマーケティングでは、インフルエンサーと短期間の関係よりも長期的な関係を築いた方が良いとここ最近提唱されてきました。
長期的な関係の構築は、安定した質のコンテンツ提供につながります。
インフルエンサーとの関係性がコンテンツの質に影響することがあるので、長期間インフルエンサーと関わることも重要です。
今後インフルエンサーをゲストとしてではなく、チームとして迎えるキャンペーンが増加するのではないでしょうか。
出典 : Business 2 Community:https://www.google.co.jp/amp/www.business2community.com/marketing/2017-influencer-marketing-trends-01789311/amp
トレンド3.ローカルインフルエンサーに注目
YouTubeクリエイターやインスタグラマーが認知されたことで、ウェブ上で活躍するユーザーが増加。各ジャンルで影響力を持つインフルエンサーが徐々に増えてきています。
都心に住んでいなくてもインフルエンサーとして活躍できるため、地方を拠点とするインフルエンサーも目立ってきています。2017年はその土地で活躍しているインフルエンサーが、地方のキャンペーンに起用されることが増えそうです。
地域の魅力を伝えるときは、実際にその土地に足を運んで体験することが不可欠です。
その土地に呼び寄せてキャンペーンを行うよりも、交通の便や打ち合わせのしやすさから距離の近いインフルエンサーを起用することはいくつかメリットがあります。
都心を拠点とする企業にとっても、地方のリアルタイムな情報を発信できる人材は魅力的です。
出典 : The Drum:http://www.thedrum.com/news/2017/01/09/top-ten-trends-look-2017-influencer-marketing-continues-evolve
トレンド4.インフルエンサーを通した買物が活発化
消費者は製品購入前にソーシャルメディアなどで製品の口コミをチェックします。
他ユーザーの感想を参考にする場合も多いですが、インフルエンサーは消費者の購入意思決定に大きな影響を及ぼしています。
インフルエンサーは芸能人よりも消費者寄りなので、製品について参考にしやすい情報を得られることが多いからです。
出典 : Facebook Newsroom:https://ja.newsroom.fb.com/news/2016/11/instagram_shoppingtest/
ネットショッピングの文化が根付いたこともあり説明文のリンクをたどって製品を購入することや、欲しいものを見つけたらすぐに検索して製品を購入することが増えました。
以前はインターネットから得た情報をもとに店舗へ足を運んでいましたが、そのままインターネットで購入することが多くなったのです。
消費者がインターネットで製品を購入することに抵抗がなくなったことで、ソーシャルメディアでショッピングしやすい環境を整える傾向があります。
インスタグラムはショッピング機能をテストして、ピンタレストではお買い物ピンが導入されました。
2017年は他のソーシャルメディアでショッピング機能が充実する可能性があります。
トレンド5.透明性が大切
信頼されるコンテンツを作るには透明性が重要です。アメリカでは米連邦取引委員会(FTC)によって、依頼を受けて宣伝した製品は広告と明記することを義務化。
日本でも明らかな宣伝製品に提供元が記載されていないと、消費者は不信感を抱きやすくなっています。
またインフルエンサーのスポンサーコンテンツでも、良いことだけではなく正直な感想が求められています。
化粧品を紹介する際は肌質の違いで合う合わないがあります。やみくもに称賛するのではなく、インフルエンサーがオイリー肌で宣伝した製品が合わない場合は正直に伝えて「乾燥肌の人には合うのでは」など見解を伝えることも重要です。
製品を購入するのは消費者なので素直な感想が重要視されます。
たまに動画を使ったスポンサーコンテンツで、起用されたインフルエンサーらしくなくCMのような動画が投稿されるときがあります。これが企業アカウントで投稿されるならさほど問題ないのですが、インフルエンサーのアカウントで投稿されるとファンにとっては違和感です。
インフルエンサーのアカウントで投稿するコンテンツは、いつものインフルエンサーらしい編集や演出にした方がファンに受け入れられます。コンテンツの作成方法は内容の信頼度を高めるために注意が必要です。
出典 : TOURN:http://tourn.co/2017/02/24/influencer-marketing-trends-2017/
トレンド6.新テクノロジーの導入
2016年はVR元年として、仮想現実を体験できるVRに注目が集まりました。さらにVRが話題になったことで、ARやMRも取り上げられることが増えました。
特にFacebookはVR動画が閲覧できるFacebook360を取り入れるなど新テクノロジーの導入に積極的です。
YouTubeも360度ビデオをとりいれているので、プラットフォームを通して新テクノロジーにアクセスしやすくなっています。
インフルエンサーのコンテンツでも360度ビデオなど新テクノロジーを取り入れたものが増加。
動画の一部を360度動画で撮影したり、ホロレンズを紹介したりと積極的に採用しています。
インフルエンサーは他のユーザーと異なるコンテンツでファンにアプローチすることを考えているため、新テクノロジーとインフルエンサーは相性が良いです。
VRを使ったキャンペーンが増加しているように、インフルエンサーマーケティングでもより新テクノロジーを取り入れたキャンペーンの増加が期待できます。
出典 : TOURN:http://tourn.co/2017/02/24/influencer-marketing-trends-2017/
トレンド7.コンテンツのストーリー性は常に重要
ソーシャルメディアマーケティングなど画像や動画を使って消費者にコンテンツを届ける場合は、ストーリーを感じるコンテンツが有効です。
こういったコンテンツで使われるストーリーテリングは、体験談やエピソードを活用して伝えたいことを聞き手に印象付ける手法。
昨年から重要視されているコンテンツのストーリーは2017年も継続して重要になります。
出典 : @natgeo:https://www.instagram.com/natgeo/
世界で起こっていることを印象的な写真で伝えるナショナルジオグラフィックは、ストーリーテリングを上手く活用してソーシャルメディアマーケティングを行っています。
世界中で撮影した写真にそのときの体験を載せることで、ユーザーに写真の背景を想像しやすくします。
消費者の感情を上手く引き出すことがマーケティング成功のカギです。ストーリーテリングは聞き手の感情を引き出しやすい手法なので、今後さらに重要性が増すでしょう。
出典 : Social Pilot:https://socialpilot.co/blog/influencer-marketing/
トレンド8.芸能人とインフルエンサーマーケティング
インフルエンサーの影響力が増したことで、芸能人や海外セレブとインフルエンサーの境目が曖昧になっていると叫ばれています。
たしかにインフルエンサーはソーシャルメディアで影響力を持つので、そのインフルエンサーが活躍しているプラットフォームでのプロモーションなら芸能人よりエンゲージメントが高いことが多々あります。
例えばYouTubeの広告なら、YouTubeクリエイターが出演するとより大きな反響を得られるでしょう。
しかしトップの芸能人がインフルエンサーや消費者のロールモデルになっていることに変わりありません。
トップのインフルエンサーはトップの芸能人をお手本にしていることが多いです。
芸能人が取り入れたアイテムをインフルエンサーがお手本にして取り入れ、さらにインフルエンサーのファンがインフルエンサーのアイテムを取り入れて流行するという流れがあります。
芸能人はプラットフォームに関係なく全体的な知名度があるので、キャンペーンの認知度増加に貢献してくれるという点も魅力です。
こういった点から、インフルエンサーマーケティングで芸能人を取り入れたマーケティングが増加すると考えられています。
例えばインフルエンサーキャンペーンに芸能人とトップインフルエンサーを起用したとします。まずは芸能人に製品を紹介してもらうことでキャンペーンの認知度を増加。
インフルエンサーに製品を紹介してもらい、彼らのオーディエンスに製品をアプローチしてもらうことで購入を促します。
出典 : Social Pilot:https://socialpilot.co/blog/influencer-marketing/
トレンド9.デモンストレーションビデオがキーに
出典 : @buzzfeedtasty:https://www.instagram.com/buzzfeedtasty/
コンテンツの動画人気とウェブ上での商品購入率増加から、今後はデモンストレーション系の動画がキーになると考えられます。
昨年からTastyやデリッシュキッチンなど数分で料理工程を紹介する動画が人気を集めています。
さらにDIYなどお役立ち情報を配信するC CHANNELや、メイク系の情報を配信するMimiTVなども台頭。
現在ソーシャルメディアでは多くのデモンストレーション系の動画が登場しています。
MimiTVでは人気のインスタグラマーが出演するなど、インフルエンサーと協力してコンテンツを作っています。
特定の分野で情報を発信しているインフルエンサーは、実際に自身が製品やサービスを試して情報を配信するデモンストレーション動画に最適。オーディエンスは分かりやすく上質なコンテンツを求めているので、デモンストレーション動画は高いエンゲージメントを引き出せるのではないでしょうか。
出典 : IBM:https://www.ibm.com/think/marketing/top-ten-trends-to-look-for-in-2017-as-influencer-marketing-continues-to-evolve/
【まとめ】
今回は2017年トレンドになると予測されるインフルエンサーマーケティングで押さえておきたいことを9つ紹介しました。
コンテンツに取り入れたいものから注意が必要なものまで様々なトレンドがあります。
例えば5つめに紹介した透明性は、今後より消費者が敏感になると考えられるので注意が必要なトレンドです。
動画を手軽に閲覧できる環境が整ったことと映像から情報を受け取りやすいため、ここ最近はデモンストレーション系の動画が目立っていました。
多くの企業が字幕をつけて情報を発信する動画をマーケティングに活用していた印象です。
そのとき消費者が求めているトレンドを押えることで、多くの消費者の関心を引ける可能性があります。
キャンペーンやマーケティングのスタイルに合うものがあれば、ぜひ参考にしてください。