2017年3月30日、Googleは「Googleオプティマイズ 360」を正式版に移行しました。
同時に「Googleオプティマイズ」を無償提供することを発表。大手企業が提供する上質なABテストツールを無料で利用できるようになりました。
出典 : Googleオプティマイズ:https://optimize.google.com/optimize/home/#/accounts
目次
Googleオプティマイズの無償版とは?
2016年秋からベータ版が公開されていた「Googleオプティマイズ(Google Optimize)」は、テストツール「Googleオプティマイズ 360」の無償版として提供されていました。今回、正式版がリリースされるにあたりより多くの人が利用できるようになったのです。
Googleオプティマイズのベータ版が提供されていたときは、申請ページから利用登録をしてテストユーザーに選ばれた人のみ利用できるというシステムでした。
今回から正式版に移行するにあたり、利用するために申請する必要がなくなり、登録するとすべてのユーザーがすぐに利用できるようになります。
幅広い層がA/Bテストツールを無料利用できる機会が増えるので、予算があまりかけられないプロジェクトの味方になってくれそうです。
Googleオプティマイズでできること
オプティマイズの良い点は、無償版でも十分なテストツールを使うことができるところです。
有償版は無償版の機能をアップグレードしたものが使えるという印象。
まずは無償版を使って見て、より幅広い機能を利用したいというときは有償版に変更することをおすすめします。
サイトの効果を十分に引き出せるように改善することはマーケティングで重要です。
Googleオプティマイズは、次のように無償版でもサイト作成に役立つツールを複数提供しています。
A/Bテスト
Googleオプティマイズで利用できるテストツールの1つに、A/Bテストツールがあります。
A/Bテストとは指定したウェブサイト全体か一部分をAとBの2パターンを用意して、どちらの方がよい効果を生み出すか検証するテスト方式。
このテスト方式はマーケティングにとても有効な方法です。ショッピングサイトであればAとBどちらの方がより効果を得られるか検証することで、サイト内のメニューのクリック率などが大幅に変わります。
キャンペーン中はキャンペーン用のサイトを作って、キャンペーンへの応募や製品・サービスの購入を促すかと思います。
どういったサイトが効果を得られるか検証することで、キャンペーンの結果が大きく異なるのでA/Bテストの実施はかなり重要なポイントです。
多変量テスト
多変量テストもGoogleオプティマイズで利用できます。多変量テストとは複数のサイトを異なる組み合わせで観測し、どの組み合わせが最も効果的か検証する方法です。
一度に多くの組み合わせを検証できますが、検証するためにはある程度のトラフィックが必要になります。
A/Bテストは2つパターンから検証するテスト方式でしたが、多変量テストは複数のパターンから検証するテスト方式です。
例えばA/Bテストでは「背景が青、メニューボタンが黒」のサイトと「背景が赤、メニューボタンが黒」のサイトしか比較できなかったとします。多変量テストでは「背景が青、メ
ニューボタンが黒」と「背景が黒、メニューボタンが赤」、「背景が黄、メニューボタンが緑」、「背景が白、メニューボタンが紫」など複数の要素を変更したサイトを比較できます。十分なトラフィックがあるようなら多変量テストを活用してみてください。
有料版と無償版の違い
出典 : Analytics Solutions Optimize:https://www.google.com/analytics/optimize/compare/
無償版でも便利なテストツールを提供するGoogleオプティマイズですが、有償版と比べると使える機能が一部制限されています。有償版と無償版の違いを公式サイトの情報を元にまとめました。
- ・A/Bテスト(無償版:利用可/有償版:利用可)
- ・Googleアナリティクスとネイティブ統合(無償版:可/有償版:可)
- ・地域やユーザー属性を含む高度なターゲティング(無償版:可/有償版:可)
- ・シングルページWebアプリケーションへの対応(無償版:対応/有償版:対応)
- ・Googleアナリティクスのオーディエンスターゲティング(無償版:未対応/有償版:対応)
- ・多変量テスト(無償版:制限あり/有償版:制限なしで利用可)
- ・サポート(無償版:ヘルプセンターやコミュニティーサービスを利用して自分で問題解決すること/有償版:サポートあり)
など
無償版だといくつかの高度な機能が制限されますが、A/Bテストや多変量テストは利用できます。オーディエンスターゲティングなどを利用したいときは、有償版のGoogleオプティマイズ360を利用しましょう。
出典 : Analytics Solutions Optimize:https://www.google.com/analytics/optimize/compare/
Googleオプティマイズのおすすめポイント
Googleオプティマイズのテストツールは大手企業の運用にも活用できて、無償で提供されているという魅力があります。他のおすすめポイントは「導入のしやすさ」と「ページの変更が簡単」という点です。
出典 : GoogleアナリティクスSolution:https://analytics-ja.googleblog.com/2017/03/google.html
導入のしやすさ
A/Bテストツールを導入するときに、不安要素として挙げられるのがツールに対する知識の不足という点です。導入に際して予算や担当者の確保は問題になるのではないでしょうか。
オプティマイズは初期設定に特別な知識が必要ないことを売りにしています。
Googleが提供しているGoogleアナリティクスは、多くの企業が取り入れているアクセス分析ツールです。
そのGoogleアナリティクスを利用しているユーザーなら、コードを一行追加するだけでオプティマイズを利用開始できます。
テストツールは数ステップでアナリティクスのデータを使って利用できるので、導入と同様に利用しやすさが一番の魅力です。
ページの変更が簡単
A/Bテストのためにパターンの違うサイトを用意するかと思いますが、この作業は地味に負担がかかります。
一番効果が期待できるサイトを作成するために、テストする複数のウェブページを作成するかと思います。しかしウェブページのパターン変更のために複数の人の時間をとってしまうのは、人件費や作業効率の面で見直したいところですよね。
オプティマイズならビジュアルエディタ機能が搭載されているので、ウェブページの要素をドラッグ&ドロップで変更できます。
そのため初心者でもパターンの異なるウェブページの作成が可能。JavaScriptやCSSの編集をエディタ内でできるので、上級者が編集するときも快適に作業できます。
こういったウェブページの変更のしやすさはオプティマイズを利用する大きなメリットです。
Googleオプティマイズの設定方法
Googleオプティマイズはいまのところ、英語ページのみ公開されています。設定方法を紹介するのでぜひオプティマイズを導入してください。
まずは登録したいGoogleアカウントにログインしてください。次にこちら(https://optimize.google.com/optimize/home/#/accounts)にアクセスして、「GET STARTED」をクリックします。
するとメール購読画面に移ります。最初の注意書きに後からメールの設定はセッティングから変更できるとあるので、ここは適当に回答して後から変更しても大丈夫です。
ちなみに購読できるメールは次の3種類です。
・Tips and recommendations
Googleオプティマイズを利用する際のヒントとおすすめを教えてくれるメールが届きます。
・Product announcement
オプティマイズの最新機能とアップデート、製品発表があるとメールで通知が届きます。
・Market research
Googleのマーケットリサーチに参加して、オプティマイズの改善に協力します。
全て購読したいときは「Yes, please」、購読したくないときは「No, thanks」を選んでください。すべて選択が完了したら右下の「NEXT」をクリックします。
次はオプティマイズの初期設定に移ります。この設定は後からセッティング画面でいつでも変更可能です。
・Improve Google products
この項目にチェックを入れると自身のオプティマイズアカウントのデータをGoogleにシェアして、Googleの製品やサービス改善に貢献できます。
・Benchmarking
匿名データを提供してデータの傾向把握に貢献します。提供したウェブサイトに関するすべての情報は、他の匿名データと結合されて他のユーザーと共有されます。
・Get in-depth analysis
Googleのセールスエキスパートにデータを含めてオプティマイズアカウントへのアクセスを許可し、Google商品全体の詳細な分析、インサイト、おすすめを受け取ります。
すべて設定することをおすすめされているので、よくわからないという人は全部の項目にチェックを入れましょう。設定はいつでも変更できるので、必要なくなった項目を後から外しても問題ありません。
「I acknowledge I have read and agree to the terms of service」は利用規約に同意する項目です。操作画面ではterms of serviceに利用規約へのリンクが貼ってあるので、内容に同意したらチェックボックスをクリックしましょう。右下の「DONE」を押したら次のステップに移動します。メール設定を変更したい場合はDONEの横の「PREVIOUS」を押してください。
ログイン後の画面が表示されたら、オプティマイズの設定が完了です。時間があるときにGoogleアナリティクスの紐付けをしましょう。画面右側のメニュー2番の「Link to Google Analytics」から設定できます。「LINK PROPERTY」をクリックしてアナリティクスの設定に移りましょう。
紐づけするアナリティクスを選択するページが出ます。「Google Analytics property」の下をクリックすると、紐づけしたいアナリティクスが選択できます。アナリティクスの選択が完了したら、右上の「LINK」をクリックしてください。
紐づけが完了すると「Add Optimize snippet to your site?」というポップアップが出現します。これはオプティマイズ用のコードを発行するかどうか選択する画面です。今すぐにオプティマイズのコードをサイトに埋め込みたい場合は右下の「GET SNIPPET」をクリックしましょう。コードは管理画面でいつでも確認できるので、いますぐサイトに埋め込む予定がない場合は「SKIP FOR NOW」をクリックします。
今回はこのままコードをサイトに埋め込むところまで解説します。「GET SNIPPET」をクリックすると、オプティマイズのコードが表示されました。
まずはステップ1として「Googleアナリティクスのトラッキングコードをアップデート」するように説明があります。
ちなみにオプティマイズのコードはアナリティクスのコードの内部に挿入して使用します。オプティマイズを使用するページにアナリティクスのコードを挿入しておくことが前提なので気をつけてください。
ステップ1では、オプティマイズを使用したいすべてのページで次のことを実行してください。
1.アナリティクスのコードをページの
2.赤枠で囲んだ部分はオプティマイズのコードです。そのコードをコピーしてください。
3.ページに設置したアナリティクスのコードにオプティマイズのコードを挿入します。ウェブページ内の画像の3番と同じ位置(灰色部分)にオプティマイズのコードを挿入してください。
全ての作業が完了したら右下の「NEXT」をクリックします。
次はステップ2の「ページのちらつきを抑える」設定に移ります。この設定をしておくことで、A/Bテストをしたときなどに発生するページのちらつきを抑えることができます。次の指示に従って設定してください。
1.画像の赤枠で囲まれた部分のコードをコピーします。
2.ステップ1でオプティマイズのコードを埋め込んでアナリティクスのコードをアップデートしたかと思います。そのアナリティクスのコードのちょうど前に、先ほどコピーしたコードを挿入します。アナリティクスのコードと今回コピーしたちらつきを抑えるコードの間には、他のコードが入らないようにしてください。オプティマイズを使用するすべてのページでこのコードを挿入します。
作業が完了したら画面右下の「DONE」をクリックして設定を完了します。
ログイン後の画面に移動して、右メニューの「Link to Google Analytics」に緑のチェックマークがついていたら設定完了です。紐づけるアナリティクスを変更したい場合は、「Link to Google Analytics」の「EDIT LINK」からいつでも設定を変更できます。これでオプティマイズの設定は完了です。
まとめ
Google オプティマイズは2017年3月に発表されたばかりで、まだ多くの情報が出ていません。ですが紹介したようにGoogleアナリティクスを使っているページなら、オプティマイズの短いコードを既存のアナリティクストラッキングコードに挿入するだけで、すぐにオプティマイズの利用を開始できます。特別な知識が必要なく大手企業のテストツールをすぐに導入できるという点はかなりポイントが高いです。ビジュアルエディタでテストするウェブページを手軽に編集できるので、これから多くの企業がGoogleオプティマイズを導入すると予測できます。
基本機能は無料で利用できるので、テストツールを使って見たいけど予算や知識不足で断念していたという企業はぜひ取り入れてみてください。